短歌のあれこれTwitter上アンケート結果
@2013/8/9~8/11
※グラフの文字が小さいところがあるためPCでの閲覧推奨です。
有効回答数304名のうち、所属を書いていただいた方の回答のみを利用して分析させていただきました。
本当にたくさんのご回答、ありがとうございました!
(結果をまとめるためにやったこと)
所属を「結社」「同人誌」「学生短歌」「無所属」の4つに分類。
所属ごとに短歌に対する意識の差がどのくらいあるかを比べてみました。
◎は田中ましろのコメントです。プロではないので分析が甘いところはぜひご指摘ください。
■回答人数の内訳 |
■結社内訳 |
|
|
◎無所属が圧倒的多数を占めている。
複数の場に所属(結社+○○)と回答いただいた人に関しては、
傾向として結社の方に近い特徴が見られたため、
1:結社(A+B+C+D)66人
2:同人誌(E)22人
3:学生短歌(F)13人
4:無所属(G)200人
と4つのカテゴリに分類してそれぞれの場を比較してみる。
結社所属と答えた人の内訳は、未来、塔、短歌人の順で多い。
■歌会に参加したことはありますか? |
|
◎結社所属の95%近くが何らかの歌会経験ありと回答。
顕著な傾向としては、学生短歌会はオフラインでの歌会が中心となっている。
学生短歌会所属の人は学内での歌会以外の歌会の場にはあまり興味を示していないということか。
無所属の歌会参加経験は半数以下だが興味を持っている人は多く、
機会さえあれば歌会に参加することが予測される。
■参加したことのある歌会をお教えください |
<結社>
(その他)
梨の実歌会、かばん歌会、超結社の歌会(白の会など)
大岡山歌会、個人開催の歌会
鈴木歌会、夜のお菓子歌会、おくむらメール歌会、スカイプ歌会、
学生短歌内のネット歌会、モバイル短歌、地方対抗短歌戦、
短歌点関西のオフライン歌会、tkメーリングリスト、原人の海図、
ニフティサーブ短歌フォーラム、
ラエティティア、mixiの結社歌会、など
<同人誌>
|
<学生短歌>
<無所属>
(その他)
東京KAJIN倶楽部歌会、
茶屋町歌会(学生OB+夜ぷち勢)
地方対抗短歌戦、知人同士の歌会、
青木健一さんの歌会、
数人集まって非公開形式での歌会、
山本まともさん主催の1時間歌会、
紅白短歌合戦、
橿原歌会スカイプ参加、そば飯歌会、
モバイル短歌、ふみまろ歌会、
けいと歌会、
エロきゅん短歌倶楽部、
うたのわ歌会機能、
BL短歌のイベント、
犬という名の猫な歌会(犬猫会)、
超結社の歌会 など
|
◎結社と無所属は「その他」の回答が多く
それぞれ性質の違いはあれど小規模で数多くの歌会が開かれている。
学生短歌は所属短歌会の歌会に専念しているケースが多い。
参加する歌会の雰囲気や目的などを細かく分析すると
それぞれの場における歌人の意識がさらに細かく見えてくるかもしれない。
■短歌発表の場の変遷について
過去と現在の発表の場を比較しています。数字は人数。(グラフの字が小さくてすみません!) |
<結社>(n=66)
(その他の例)
専門誌等から依頼されて寄稿(6名)、
詩客、カラン卿の短歌魔宮、
機関誌、通信講座、モバイル短歌
|
◎幅広く投稿活動などをしていた歌人が
結社に入って以降、結社誌への出詠など
結社での活動に一本化している様子がわかる。
|
<同人誌>(n=22)
(その他の例)
自身のライブで発表、短歌誌への発表、
文学フリマ、商業出版物で発表
|
◎所属誌へ活動を集中させる傾向。
文学フリマを発表の場として活動する人も。
うたつかいに投稿した人は継続率が高い。
|
<学生短歌>(n=13)
(その他の例)
学生短歌会の機関誌、文芸部の機関誌
|
◎歌会への詠草提出と新人賞への応募が主な活動の場。
活発な議論や向上心のある非常に良い場と言える。
逆に、ネット系の歌会や他の投稿先への意識は少なく
先の設問でも触れたように
やや閉鎖的な傾向と捉えることもできる。
|
<無所属>(n=200)
(その他の例)
専門誌・新聞等からの依頼、モバイル短歌、
短歌道、yahoo掲示板、ギャラリーで展示、
ライブハウス、学校のゼミ内で発表、
自らの店で販売、自主制作冊子、雑誌連載、
自らのラジオ番組で朗読、友人間での発表、
HPで発表、
|
◎結社同様、活動の場はかなり幅広い。
継続しているのはTwitterやうたつかいへの投稿。
選歌のある場より、広く作品を見てもらえる場が
好まれる傾向か。
|
<批評を書くことに興味はありますか?> |
|
◎結社・同人誌には批評の書き手が3割前後見られる。感想まで入れると6割~7割にのぼる。
学生短歌にのみ所属している人は日頃から意識して批評を書いている様子はないが、
多くの人が書くことに興味を持っているようである。
無所属では批評よりも感想が意見交換の中心となる。
あくまでも仮説レベルではあるが、
WEB上でのコミュニケーションが多い無所属では軋轢を生まないことを考慮した結果、
批評より感想が選択されているのではないか。
結社や同人誌では、評する人と評されたい人の意識のバランスがきちんと取れているために
短歌発表の場として評も重視される傾向があるように思う。
<批評を読むことに興味はありますか?> |
|
◎批評を読むことに関しては書くことよりも多くの人が興味を持っているようである。
とりわけ結社、同人誌、学生短歌からの関心は高く無所属との大きな差と考えてもよいだろう。
(無所属にも3割以上の批評読者は存在する)
書くことに興味のある人との差を考えると、読者は一部の優れた批評を書く歌人の評を楽しみにしており
現在、短歌の世界に流通する批評の多くが一握りの歌人により生みだされているのではないか
という疑問も感じた。
<発表した自作についてご自分の考えにもっとも近いものをお答えください> |
|
◎大半の人が自身の発表した作品を通して
読者となんらかのコミュニケーションを取りたがっているようである。
結社および同人誌の回答比率からは作品の質を高めたいという意思を感じる。
一方で無所属では作品の質を高めることはもちろん、
コミュニケーションを取るという目的にも主眼が置かれている可能性を感じた。
<短歌を始めたきっかけはなんですか?>
フリーアンサーを元に「人」と「メディア・場」に分けて出現キーワードを集計しました。 |
|
|
|
|
◎(人物)
結社所属、無所属は関係なく、きっかけとなった人物の1位は「枡野浩一」。
その他、「俵万智」「穂村弘」も短歌の世界への入り口という点で非常に影響力を持っていると言える。
「友人」という回答はすべての所属を通じて上位に登場する。
一方で<学生短歌>では「枡野浩一」や「俵万智」が回答にでていないことが気になった。
これまでのような入り口としての影響力が薄れてきているのではないか。これは大きな懸念である。
(メディア)
結社所属でもっとも多かった回答は「歌集以外の本」。歌人のエッセイや小説、入門書がそれにあたる。
「歌集」ももちろん上位にいるがほとんどは上記、影響力のある歌人の歌集。
無所属では「Twitterで見た知らない人の作品」という回答もいくつか見られた。
「歌集以外の本」や「インターネット」といった
短歌を知らない人のいる場に短歌を届けるメディアの存在が
短歌人口増加の鍵を握っていると考えられる。教育機関ももちろんその場のひとつだろう。
以上、何かのご参考になりましたら幸いです。
2013/8/30 田中ましろ